東京都 O様
『屋上を有効活用したスマートライフ 太陽光で屋根上貯金』
- 物件名
- COZY PAL コージーパル
- 間取/世帯数
- 1LDK×4戸
- 完成/構造
- 2009年2月築/木造2階建
- 取材日
- 2012年6月
三角屋根に四角い壁。インパクトの強いCOZY PALの外観だが不思議と三鷹の街並みに溶け込んでいる。
コンセプトを施主で一級建築士のO様に伺いました。
(O様)「入居者の方にずっと住み続けてもらえるのも有りだけど、賃貸だからこそ冒険できる、考えから逸脱できるとも思った。面積や立地条件などの要素とターゲットから若い夫婦や単身者にターゲットを定めていたが、実際は思っていたよりも少し年齢層が高かったかな。」
間取りはメゾネットタイプの1LDKが4つ。独立性は保ちつつ4世帯が仲良くなるよう外壁で囲み、1つのコミュニティーとした。玄関が引戸になっているのも面白い。
(O様)「人を招き入れる優しいイメージ。広めの玄関は一見無駄なようで、実は暮らしの豊さに繋がると思う。」
印象に残るのはクールな外観だけに留まらない。無垢材が香る明るい室内とのギャップに驚く。
(O様)「カッコイイは欲望で実際の生活は違う。外は年数を経るごとに味になり、中はメンテナンスのし易さと使い勝手を最優先。」
O様の住まい手にも寄り添った心境が伺える。
経営についても伺う。
(O様)「施工当時は設置しなかった“太陽光パネル”。入居者のエコ意識はまだ低く、元より事業モデルとしての発想には繋がらなかった。」
確かに入居世帯に還元するには相応の発電量が必要だ。太陽は南の空を通るから南側片流れの屋根にすれば最良だが、北側斜線が避けられないし採光窓やバルコニーを優先したい。また発電できる日中は入居者も不在しがちだ。蓄電池がなければ貯めておけず夜間は役に立たない。
(O様)「でもよく考えてみれば元々屋根は余剰スペースだったんです。共用部の電気だったら微々たるもの。日中は全て売電して夜間の共用灯に相殺できれば。」
シミュレーションの結果は7年半で償却。パネルは10年保証。そして完成後にも関わらず足場を組まずに梯子を掛けるだけで設置できた構造が施工費軽減に繋がったという。賃貸専用住宅の場合は事故防止に屋上階段を設けない物件も多いのだろう。コストパフォーマンスを尋ねると、月の共用電気代は8百円程。当初発電量は1万3千円で試算したが実際は1万5千円を上回る嬉しい誤算。このペースなら償却も7年を切る勢いだとか。そうなれば数年後からは月1万4千円程の収入が将来のメンテナンスに積み立てられる。O様から『これが屋根上貯金』と笑みがこぼれる。
(O様)「もっと入居者の意識に定着したら、いずれは入居者への還元に切り替える方向でも検討したい。もちろん設置して良かったです。」
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