アパートやマンション経営を行なう上でよく問題になるのが、修繕やリフォームの費用をいかに処理するか、ということです。修繕費になるのか、はたまた減価償却の対象となるのか、それによってずい分税金も違ってきます。
たとえばRC造のマンションの外装を100万円かけて直した場合、これが修繕費になるかならないかでは次のように違ってきます(RC造マンションの耐用年数は47年)。
支出した年の経費は、何と約98万円もの差が出てきます。これにその方の所得税・住民税の合計税率(15%~50%)を掛けた額の税金が違ってくるのです。大きいですね!お金は100万円出ていってますから、税金の出費はできるだけ抑えたいところです。そのためにはいかに修繕費にできるか、ということが賃貸経営の重要なテーマになってきます。
では、この修繕費と減価償却のいずれかになるかの判断はどのようにするのでしょうか?まずは、修繕費と減価償却(資本的支出といいます)の簡単な定義を見てみましょう。
言葉で表わせば上記のようなことなのですが、実際かかった費用について、どちらになるのかの判断は意外と難しいのです。たとえば、部屋が空いたので原状回復工事をした場合に、ちょっとした部屋の改装をすると、その部分は減価償却の対象になる可能性があります。ただし、その部分の金額がいくらかというと明確に区分できない、というケースが多いのではないでしょうか。
そこで税務では、修繕費と資本的支出の区分判定の基準を次のように設けています。
まずは20万円という基準があります。
20万円未満であれば、内容のいかんにかかわらず修繕費とすることができます。
次に60万円という基準があります。
60万円未満で資本的支出か修繕費か区分が不明確なものは、修繕費とすることができます。60万円以上であっても取得価額の10%以下であれば修繕費になります。ただし、 20万円以上60万円未満の場合でも、明らかに資本的支出に該当するものであれば、それは資本的支出となります。
それ以上の金額の場合は、割合区分法を使う場合を除き、実質的に資本的支出か修繕費かを判定することになります。
たとえば、350万円の外壁の塗り替え工事をしたとします。これは修繕費となるのか、資本的支出として減価償却の対象になるのか、その判断のポイントは何でしょうか?先ほどの図によれば実質的に判定するということです。では、この実質的とはどう判断するか?それには今一度修繕費の定義に戻ってください。修繕費とは、資産を元々あった状態に戻すための費用です。ということは、元々使われていた材質のものを使わなければいけない、ということですね。どうせ直すなら見た目も良くて長持ちする外装にしよう、などと思わないでください。材質を変えてしまえば元々の状態ではなくなりますので、これは資本的支出となってしまいます。ですから、修繕で注意すべきは材質を変えない、ということなのです。
なお、修繕費を経費として落とす場合は、請求書や見積書に修繕であることが明確になるような記載をしてもらうこと、建物診断書や工事報告書などをもらうこと、修繕前・修繕後の写真を撮っておくことなどもポイントとなります。
以上、修繕費と減価償却の違いをよく理解していただき、堅実な賃貸経営が行なえるよう努めてください。
東京メトロポリタン税理士法人 税理士 北岡 修一
スクラップアンドビルドの住宅政策からストック重視の政策への変換やCO2削減を目指すエネルギー政策として、エコ型住宅の促進策としてエコポイント発行、そして、新築住宅のみならず中古住宅の質の向上を図る為にエコリフォームに対してもエコポイント発行がなされたことにより、今後リフォーム工事の増加が見込まれると共に、リフォーム工事に対する更なるトラブルの増加に対応し消費者が安心してリフォーム工事が行えるように、国土交通省認可の公的な保険制度として平成22年4月1日よりスタートしたものが、リフォーム瑕疵保険制度です。
リフォーム工事を行う時、工事がずさんだったらどうしよう?工事中にリフォーム工事業者が倒産したらどうしよう?等といった消費者の不安を解消する目的で作られたのがリフォーム瑕疵保険制度です。
リフォーム工事は、新築工事に比べて事前に仕上がり具合がわかりづらい為、完成後のトラブルが発生しやすくなってしまいます。また、リフォーム業者のアフター制度なども各リフォーム工事業者によってまちまちですし、むしろ整っていない業者がほとんどだと思います。
何か、トラブルがあった時の交渉も難しく、泣き寝入りと言うケースが多いのが現状ですのでスムーズなリフォーム工事を行う為には、是非利用したい制度の一つですね。
現在の賃貸市場は、物件がだぼついている、いわゆる供給過剰の飽和状態にあります。そんな市場の中で競争に打ち勝ち安定した賃貸経営を行う為には、入居者に選ばれる物件への仕様変更が必要不可欠です。今後の賃貸経営の安定を図る為にも常に最新の入居者ニーズを捉え対応してゆくことが大切です。
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