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賃貸住宅の賃料が高騰している背景とは?

不動産市況
2025/3/27

近年、賃貸住宅の賃料が急激に高騰しています。
都市部を中心に、家賃が上昇している現象は、多くの人々の生活に影響を与え、特に若年層や低所得者層にとっては、住まいの選択肢が限られてきている現状が広がっています。
では、なぜ賃貸住宅の賃料がここまで高騰しているのでしょう。その背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。

 

1. 需要と供給のバランス崩壊
最も基本的な経済の原則として、需要と供給のバランスがあります。
都市部では、若年層や転職希望者、外国からの移住者など、多くの人々が集まっています。一方で、住宅供給はその需要に対して十分に追いついていないことが多いです。
特に、大都市圏である一都三県の中心部では、限られた土地に住宅を建設することが難しく、供給が滞りがちです。
これにより、需要過多が続き、家賃が高騰する一因となっています。

2. 建設コストの上昇
近年、建設業界のコストが大幅に上昇しています。
特に、材料費の高騰や人手不足が影響しています。
例えば、鉄鋼や木材、コンクリートなどの資材価格が高騰しており、建設業者が新しい住宅を建てるためのコストが大幅に増加しています。
このような状況では、住宅供給が増えにくく、既存の物件の家賃が上昇する原因となります。
また、建設業の人手不足も深刻な問題です。
職人の数が減少し、建設現場での作業効率が低下しているため、工期が長くなり、その分コストも増大しています。
これらのコストは最終的に家賃に反映され、賃料の高騰につながっています。

3. 金利の上昇
金利が上昇すると、不動産を購入する際のローン負担が増大します。
その結果、住宅購入を希望する人々が減少し、賃貸物件の需要がさらに高まるという現象が起こります。
特に、2020年代初頭には世界的な金利上昇の流れが続いており、これが賃貸市場に大きな影響を与えています。
さらに、住宅購入を考える人々の中には、ローン金利の上昇によって購入を断念する人も増え、賃貸市場に流れ込んでいます。
このような需要増加も、賃料の高騰を加速させている要因の一つとなっております。

4. 世界的な経済の影響
また、世界的な経済状況も賃貸市場に影響を与えています。
特に、新型コロナウイルスの影響を受けて、サプライチェーンの混乱や物流の停滞が発生しました。
これにより、建設資材の供給が遅れ、建設工事が進まないことがありました。
さらに、グローバルなインフレ傾向が続き、生活費や住宅費が全体的に上昇しています。
これも賃貸住宅の賃料高騰の一因です。

5. 政策の影響
政府の政策も賃貸市場に影響を与えています。
例えば、住宅ローン減税や税制の優遇措置などが不動産市場に影響を与えることがあります。
特に、都市再開発や交通インフラの整備など、都市圏の魅力を高める政策が進むと、そこに住むための家賃が上昇する傾向があります。
また、規制が厳しくなると、賃貸物件の供給が滞ることもあります。賃貸住宅の規制強化が一部地域で進んでいるため、これにより供給が減少し、結果的に賃料が高騰することもあります。

 

■賃料値上げについての注意点

最後にオーナー様へ、所有している賃貸アパート・マンションは簡単に賃料の値上げができるのかというと、そうではありません。
値上げのためには、正当な理由が求められます。
では正当な理由とは何かというと、

 

・経済的な状況の変動
物価や人件費の上昇などの経済状況の変化は、家賃を上げるための正当な理由とみなされます。
物価の上昇は賃貸アパート経営にかかるコスト増加を引き起こし、オーナー様の経営を圧迫する可能性があるためです。
物価上昇の折に安定的な賃貸経営を維持するためには、家賃の値上げが必要となる場合もあります。

・不動産物件の維持費や税金の上昇
周辺地域の開発によって利便性が向上し、固定資産税や都市計画税が増加すると、オーナー様の負担も増えます。このような税金の上昇は、家賃を上げる正当な理由と認められる可能性があります。
他にも、天候の影響で修繕費が増えたといった維持費の増加も、家賃値上げの正当な理由となります。

・周辺の家賃相場との乖離
物件の立地環境、間取り、築年数、建物の構造等によって家賃は異なります。
このため、一概には言えませんが、現在の家賃が周辺の類似物件の家賃と比較して低い場合の値上げは正当とみなされる可能性があります。
つまり、条件が似ている複数の物件を比較することで、値上げの正当性をより明確化することが可能です。

 

上記の正当な理由から家賃の値上げを入居者へ通告したものの、交渉が決裂した場合、一方的な値上げはできません。
仮に一方的に値上げしてしまうと、法的な対応が必要になることもあり、訴訟に発展した際は弁護士費用などの追加コストや精神的な負担がかかってきます。
このことから簡単に値上げすることは難しいですし、慎重に値上げを検討することが必要となってきます。

 

まとめ
賃貸住宅の賃料高騰は、単一の要因ではなく、複数の要素が絡み合っている結果です。
需要と供給の不均衡、建設コストの上昇、金利の影響、そして世界経済の状況などが相まって、賃料は上昇し続けています。
この状況は今後も続く可能性が高く、食費や光熱費など生活費の負担が増す中で、賃貸住宅に住む人々の暮らしは少しずつ厳しくなってきている現状ですが賃貸経営につながる補助金なども含めた対策を政府や地域社会が今後どのように講じるのか、最新の情報を日頃から注目していくことが求められています。

 

城東支店 開発営業部
原田 雅章

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