立退きの正当事由とは!?
早いもので本年のメルマガも最後となりました。
本年も1年、弊社のメルマガにお付合い下さり誠にありがとうございます。
来年も皆様にとって飛躍の年になりますよう祈念致します。
さて、今回は立ち退きについてお話しさせていただきます。
賃貸住宅は築年数と共に賃料が下がり空室期間が長くなってきます。
親御様から賃貸住宅を相続した方から、空室が多く入居している方も属性が悪いのでどうにかできないか?
といったご相談が弊社にもあります。
ご相談には続きがあり、建替えて新しい建物を建てたいので立ち退きをして欲しい、
という方が多くいらっしゃいます。
建替えをするには既存の借主(入居者)に部屋を明け渡してもらう必要がありますが、
どのようなケースであれば正当事由に該当するのでしょうか。
借地借家法第28条 (建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、
建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、
建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は
建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、
正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
借地借家法によると財産上の給付(立退き料の支払い)により正当事由が認められる場合があるとしておりますが、
明け渡しを履行してもらう事情が重要となります。
賃貸借契約で貸主から一方的に契約解除できる事情は家賃滞納3か月です。
賃貸借契約は貸主と借主の信頼関係で成り立っております。
賃料未払いが3か月になると信頼関係が破壊されたとみなされて契約解除の要件(正当事由)に当たります。
上記のケースであれば立退料がかからずに明け渡し訴訟の提起を行えば明け渡しの判決がもらえます。
※訴訟提起から判決をもらい明け渡しまでに早くても3か月はかかりますのでご注意ください。
建物の老朽化については倒壊の恐れがあるほどの家屋でなければ正当事由に当たらず、立退料が必要になります。
立退料は貸主の事情により金額が変わるとされております。
例えば築25年のアパートと築50年のアパートでは老朽化の程度が違うため、
一般的には築50年のアパートの方が立退き料は安くなるとされております。
また、入居したばかりの方や更新料を支払って更新したばかりの借主がいる場合は
立退料の上乗せが必要になるケースもあります。
立ち退きを行う場合には基本書面にて合意書を締結します。
合意書には立退料の他に明け渡し期日が記載してありますが、
転居先が決まっていないと明け渡しに関する合意ができなくなりますので、
賃貸不動産会社にて転居先を探してもらう必要があります。
気に入ったお部屋がなければ転居が難しくなる為、転居先を探すのは立退料と同じくらい重要です。
特に高齢者や生活保護受給者の方の受け入れ先が少なく、探すのが困難なケースがあります。
その際は賃貸住宅を短期貸ししている会社もあるので一旦短期貸しの賃貸住宅に住んでもらうのも一つの手段です。
転居先が決まったら合意書を締結し明け渡しを履行してもらいます。
立退きを検討されている方は、再募集時に定期借家契約にて賃貸借契約を締結する方法があります。
定期借家契約とは期間の定めがある契約です。
定期借家契約で締結した場合は正当事由が不要で契約を終了させることができます。
立ち退きがある場合、契約期間を1年で設定している方が多いです。
また、普通借家契約から定期借家契約への切り替えは原則できませんが、普通借家契約を一度合意解約し、
その後に定期借家契約で契約した場合は有効とされております。
しかし、2000年3月1日より以前に契約した普通借家契約は定期借家契約への切り替えは認められておりませんのでご注意ください。
立退きについてお話させていただきましたが、建替えを行う際の立退きはスタートラインです。
新しい建築計画の収支や建築会社の選定、管理会社の選定、管理システム、構造、間取り、設備のニーズ等の検討を
立退きと同時進行で進めなければいけません。
弊社は賃貸管理会社ですが、建築コンサルタントや市場調査、家賃査定を無料で行っております。
建築計画で重要な間取りの需給や間取りに適した設備等をご提案させていただきます。
管理システムもサブリース(一括借上システム)、一般管理(集金代行システム)をご用意しております。
その他、建替えは考えていないが空室にお悩みの方、
管理会社の変更をご検討の方がいらっしゃいましたらお気軽にお問合せください。
営業統括本部 開発営業部
大前 優