賃貸経営を意外と多くの公務員が行っている理由
賃貸経営は副業としても注目されるビジネスモデルの1つで成功すれば、あまり手間と時間をかけずに継続的な収益が手に入るため、副業としては理想的な収入源となります。
しかし、実際には副業禁止規定のある会社も多く、不動産投資をやってみたくてもなかなか手を出せない方も少なくありません。
会社員よりも副業が難しいのが「公務員」です。公務員は法律の規定で副業禁止とされていますので、原則として副業ができません。
本業以外での副業をするためには、限られた条件をいくつもクリアする必要があります。
公務員の副業については、国家公務員は「国家公務員法」、地方公務員は「地方公務員法」で、それぞれ法律上禁止されています。
公務員はあくまでも国民のために働かねばならない存在であり、国民の信頼を失わないよう「公平性」や「中立性」を持たねばならない、と考えられているためです。
公務員は国民に対し義務の履行を求める立場にもあるので、特定の業種や会社とビジネス関係を結んで便宜を図ったように見える行為は許されないわけです。
もし法律に違反して副業が発覚してしまうと、最悪の場合は「懲戒解雇」、そこまでの処分に至らなくても「停職」「減給処分」など、何らかの処分を受けることは避けられません。一般企業の会社員とは違って副業禁止が法律で明記されている以上、規定に反した副業が発覚した場合の立場は厳しいものとなります。
しかし国家公務員、地方公務員を問わず、公務員は基本的に副業禁止ですが、任命権者の許可次第では一部可能となります。
もちろん、どのような副業が認められるかについては任命権者次第です。
知事や市町村長の方針によって、今後解禁される副業の範囲が変わる可能性がありますし、そもそも公務員の副業に関心がある政治家がトップになるかどうかでも状況は変わります。
公務員の行う不動産投資については、「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)について」が副業と認めるかどうかの線引きに関する根拠となっています。
事業の経営が「自営」(副業扱い)にあたるもの
イ :独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ :独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。
ハ :土地の賃貸については、賃貸契約の件数が10件以上であること
この規則によると、一戸建て住宅などの独立家屋で5棟未満、独立家屋以外の建物、つまりアパートやマンションなどの区画された部屋10室未満までが、副業禁止規定に違反しない資産運用の範ちゅうとの扱いになります。
同規則では賃貸の目的についても触れられており、賃貸目的が娯楽施設や旅館・ホテルの運営の場合は「自営」に該当します。つまり、住居目的での一般的な賃貸であれば副業禁止に直接引っかかりません。
まとめると、住居用目的の賃貸経営で「戸建て」5棟未満、「マンション・アパートの一室」10室未満であれば、特別な許可なく、副業としての賃貸経営が可能です。また副業として認められる賃貸経営の範囲は、独立家屋5棟、独立家屋以外10室未満のほかに、「年間の家賃収入が500万円未満であること」も条件となっています。
たとえ本人が公務員であっても、妻や夫、親などの家族名義であれば、通常どおり事業を行うことが可能です。
公務員の家族であろうとも公務員本人とは別人格であり、それぞれに職業選択の自由があります。家族には公務員の副業禁止規定が適用されることもないため、家族が副業を行っても何ら問題はありません。
相続などで賃貸経営を継承する場合は事前の確認と家族への分散などの対策が必要となります。
家族と分散して賃貸経営を始めたとしても、単に名義貸しのような状態では罰則の対象から免れることはできませんし、家族名義の副業だとしても、公務員本人が「信用失墜行為の禁止」「守秘義務」「職務専念義務」の3つの原則に反してしまうと、副業規定に反することになりますのでご注意ください。
上記から公務員は非常に厳しい副業の規定があるなかで、賃貸経営は比較的始めやすい副業といえます。もし公務員の方でこれから賃貸経営をお考えの方がおりましたら、ヒロ・コーポレーションでご相談が可能となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。
神奈川支店 開発営業部
西尾 和人