賃貸経営メールマガジン

賃貸業界における断熱等級とは

建築計画
2024/7/25

 

昨今、賃貸業界でも盛んに取り上げられている(省エネ性能)ですが、住宅の性能の中において需要な要素の一つが断熱性能です。今回はこの断熱性能についてお話していきます。

 

■断熱等級とは

断熱等級とは国土交通省が規定した住宅性能の一つであり、2000年に施行された品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で定められた、住宅の断熱性能を示す指標です。

等級は1~7(数字が大きいほど断熱性能が高いことを意味します。)まで設定されています。

断熱等級は2022年3月までは4が最高等級でしたが、その後の法改正により等級7まで引き上げられました。

 

■法改正により「断熱等級4」が最低基準になる

2025年度以降、全ての新築の建物で断熱等級4など省エネ基準への適合が義務付けされます。(※全ての新築の建物でとのことなので賃貸物件も該当します。)

 

その背景としましては2020年に政府は「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」ことを宣言しました。カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというもので、このカーボンニュートラルを実現すべく、政府はさまざまな政策や法改正を実施しており、その一つとして省エネ基準への適合が義務付けされることが決まっており、今後賃貸も含む住宅建築時には最低基準となる等級になります。

 

■断熱等性能等級を上げるメリットについて

・室内温度を快適に保てる。

(外気の影響を受けにくいため、冬は暖かく・夏は涼しい快適な室内環境で過ごせます。)

 

・光熱費の削減に貢献。

(エアコンを効率的に使えることで節電につながり、毎月の光熱費が抑えられます。)

 

・補助金などの優遇がある。

(断熱対策を含む省エネ住宅は、省エネ住宅に対する住宅ローン借入限度額の拡張や、ローン金利の低減、自治体の補助金などの金銭的メリットもあります。)

 

・長期優良住宅に認定(断熱等級は等級5以上が必要)

(長期優良住宅は、長く安心・快適に暮らせる家として耐震性や省エネルギー性などの基準をクリアした住宅に与えられる認定で、断熱等級は等級5以上が必要とされています。)

長期優良住宅に認定されると住宅ローン減税の他、不動産取得税や登録免許税、固定資産税などに優遇があります。

 

■断熱等性能等級の高い住宅のデメリットについて

・建築コストが高くなる。

断熱性能の高い住宅をつくるには、どうしても建築コストがかかります。
断熱性に優れた建材の費用や、断熱材を施工する費用も必要です。

ただ、初期費用のコストが高くなっても長期的な視点で快適で安全な暮らしができる点を考慮すると、コストパフォーマンスは優れているとも言えます。

 

■断熱等級が高い建物を建てる上での注意点

法改正により、2025年4月以降は賃貸住宅でも等級4未満では建築できなくなるので、それまでにできるだけ建築コストを下げたいからと、急いで賃貸住宅を建築したとしても、省エネ基準を満たす賃貸住宅が将来的に主流になっていくなかでは、築浅でも数年ほどで競争力が下がってしまうことも考えられます。

 

■今後は最低ラインの断熱等級4で建築すればいいのか

政府は2030年までに省エネ基準をZEH水準(断熱等級5)まで引き上げようとしているので、残り5年で省エネ基準に満たなくなってしまう可能性を考えると、断熱等級5で建てた方がZEH住宅という優位性もあり、長期優良住宅の基準にも適合するため断熱等級5にて建築を計画された方が将来的にもベストな選択かもしれません。

 

(まとめ)

ここまで断熱等級についてお話してきましたが、省エネ性能の高い賃貸物件は、今後徐々にスタンダードになっていくと予想されております。

ですが、建築費用も高くまだまだニーズに供給が間に合っていない状況です。差別化できるうちに、国や自治体の助成金をうまく使いながら、利益につながる賃貸物件の設備投資をされることをおすすめいたします。

 

 

城東支店 開発営業部
原田雅章

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