相続完了済みでも要注意‼相続登記義務化が開始
■なぜ相続登記をしなければいけなくなったか?
現在、社会問題化されている空き家・空地問題が起因しています。
空き家・空地問題は相続する建物や土地の有効活用に限りがあり充分な収益が得られず、管理する費用や固定資産税等の支出ばかりがかかる等、相続したくない一心で相続登記がなされず所有者不明の不動産が増加しています。
ほかにも
・権利証(登記識別情報)が見つからず、相続登記できないと勘違いしている
・相続登記するから相続税が発生すると勘違いしている
・被相続人の所有不動産がわからず発見できない
・相続人がなんらかの理由で行方不明
等々、やむを得なそうな事情であったり、勘違いが起因していることもあります。
これらの所有者不明不動産の問題を解消すべく相続登記が義務化されるということになりました。
■相続登記しないとどのような罰則があるか?
まず、相続した不動産を正当な理由なく3年以内に登記しなかった場合は、10万円以下の過料を求められる可能性があります。
また「住所変更登記」も義務化され、所有者の氏名・住所の変更がある際にも、2年以内に変更手続きをしていない場合でも5万円以下の過料を求められる可能性があります。
そして、今回の相続登記の義務化が施行される以前に不動産を相続された方も要注意です。相続登記義務化施行前の相続不動産についても、義務化施行日から3年以内に相続登記を済ませなければなりません。義務化以前に所有者となっており、義務化施行されてから相続認知した場合、認知した日から3年以内に相続登記を行う必要があり、氏名・住所などの変更手続きも、義務化施行日から2年以内に行わなければならないとされています。
■遺産分割協議で揉めて長引きそう
遺産分割協議は様々な事情で長引き3年以内に登記することが難しいケースも多く散見されます。義務化されたので、相続問題が円滑に進まない複雑な事情を抱える方々も多くいらっしゃるとか思います。
その場合、今回の義務化施行の法改正の中身に「相続人申告登記」という新制度が設けられておりますので、こちらを活用されることをお勧めいたします。
こちらは相続人全員の承諾は必要なものの相続人が単独で登記することが可能です。
また、本来煩雑な資料を集めないといけない相続登記ですが、申請する相続人が被相続人の相続人であることが明かな書類(戸籍謄本)のみとシンプルに申請できてしまいますし、相続登記期限内に済ませれば、相続登記を履行したとみなしてくれます。
ただし、「相続人申告登記」のまま放置すると
・売却できない
・差し押さえされる可能性
・権利関係がより複雑化する
等のリスクがありますので、ご注意ください。
■それでも相続・登記したくない
相続登記義務化施行前から「相続土地国庫帰属」という制度が、昨年の4月27日から開始されています。
結局のところ、多く散見されますのは「相続する予定の不動産(特に土地)が利用できない・価値がない」という方です。この場合は「相続土地国庫帰属法」による、いらない土地を国に返すということが可能となっています。
もちろん、無条件で土地を放棄できるというわけにはいきません。
土地の診断の手数料や管理等のかかる10年分の費用を負担金として支払わなければならず、国庫に引き取ってもらえない土地もあります。
国庫が引き取ってくれない土地条件は主に
・既存の上物(建物)がある
・土壌汚染がある
・抵当権等の担保権が設定されている
・通行地役権等の他人が通る権利がある
・権利争い等の紛争がある
場合は、申請もできません。
こういうことがないか等は事前に調べておいた方がよろしいでしょう。
さて、今回は相続登記義務化が施行される数日前ということもあり、おさらいも含めてポイントを絞って触れました。
義務化されたからには、皆様のように賃貸物件の経営をされている方々は避けて通れないものとなりました。
いずれにしても、専門家の先生へのご相談が必須となることは間違いありません。
弊社では簡単な入口であれば、無料でご相談に乗っていただける専門家の先生との業務を提携しておりますので、賃貸管理・経営のみならず、こういったことも含めてお気軽にご相談ください。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
本社 アンサー事業部
夏 啓安