学生と社会人の部屋探し
昨年11月に 不動産情報サービスのアットホーム株式会社が、『ユーザー動向調査 UNDER30 2023 賃貸編』という調査結果を公表しました。
全国の18~29歳の学生・社会人男女 約2,000人を対象に、現在住んでいる賃貸住宅についてのアンケート調査を行いました。アンケート項目を学生と社会人とで比較できる調査結果となっています。
今回は、この中から注目の調査項目の結果をご紹介致します。
まず先に、学生・社会人ともにほぼ同様の調査結果となったアンケート項目を簡単にお伝え致します。
① 部屋探しの際に問い合わせをした不動産会社数
学生 平均2.7社 社会人 平均3.1社
② 部屋探しの際に訪問した不動産会社数
学生 平均3.1社 社会人 平均2.5社
③ 部屋探しの際に実際に内見をした物件数
学生 平均2.7件 社会人 平均3.0件
最終的な賃貸借契約締結に至るまでの部屋探しの様々な動きについて、学生と社会人ともに同じ程度の労力を掛けている状況が表れています。
一方、学生と社会人とでアンケート結果に差が出た項目を見たいと思います。
① 現在の間取り
・1K
学生 35.6% 社会人 41.4%
・ワンルーム
学生 33.1% 社会人 15.3%
⇒学生は、1K・ワンルームがほぼ同数の結果となっていますが、社会人では1Kが多く、ワンルームが約半数に減少しています。キッチン部分と居室部分がドアなどで仕切られている間取りが選ばれています。 おそらく学生は、初めての一人暮らし・賃貸住宅への入居ということになるでしょう。
部屋探しの際には、1K・ワンルームの違いをそれほど気に掛けず、他の条件を優先して部屋探しをしているのでしょう。実際にワンルームの物件で生活を始めて、一般的によく言われるワンルームの間取りのデメリット(玄関から部屋の内部が見える、キッチンの匂いが気になる、部屋の温度調節が難しい、など)を感じ始めた学生が、社会人として次の部屋探しの際には、こうしたデメリットが解消される1Kを選択しているケースが一定数存在しているということが予測されます。
② 部屋探しの際に、最後まで重視した設備(複数回答)
・洗面所独立
学生男子 11.1% 社会人男子 15.7%
学生女子 21.6% 社会人女子 36.2%
⇒浴室内に洗面台があるいわゆる2点ユニットバスは、実際に多く存在します。こちらも学生が2点ユニットバスを使用してみると、洗面所に収納スペースがないことや、入浴後に洗面所を利用すると足が濡れてしまう、などのデメリットを徐々に感じるようになり、社会人としての部屋探しの際には、独立洗面台を重視するようになっているようです。
独立洗面台を最後まで重視する設備として回答した学生女性は、21.6% 社会人女性は36.2%と、大きく差が生じており、バス・トイレ別 65.7%に次ぐ回答となっています。
新たに賃貸経営を始める方や、賃貸住宅の新築を検討されている方は、予定地の市場が学生需要を取り込める立地なのか、社会人がメインの入居者層となるのか、そのような点も計画する間取りを決めるための要素の1つとして参考になるのではないかと思います。
市場の状況を踏まえて、入居者ターゲットに応じた間取りの選択をしていくことも必要かもしれません。
本社 運営推進事業部
岡野 明徳