共用部照明のLED化への助成金制度の事例
今年の夏は、例年にない高温で、残暑も厳しく長い夏でした。
地球温暖化の進行を改めて感じさせるような酷暑でした。
このような猛暑が毎年繰り返される状況のもと、各自治体においても、地球環境の保全を目的として、
地球温暖化の進行に影響の大きいCО₂削減に配慮した施策が講じられています。
建築分野においては、太陽光発電システムの導入推進をはじめとして、
様々な地球温暖化対策が打ち出されています。
多くの自治体で、こうした取り組みに対して補助金・助成金が交付されており、
地球温暖化対策のより一層の推進をうながしています。
今回は、実際に弊社の管理物件において取り組んだ事例、
「エコ住宅普及促進費用助成金制度」をご紹介致します。
この助成金制度は、都内23区のある区において進められているもので、
区内の賃貸または分譲集合住宅の共用部分で使用するために、
(1)住宅用太陽光発電システム (2)LED照明器具 を購入し
設置する場合に助成金が交付されるという制度です。
今回は(2)LED照明器具を賃貸物件の共用部に導入(既存の蛍光灯照明のLED照明化)するために助成金の交付を申請しました。
助成金の交付申請手続きは、次のような流れとなります。
1.助成金交付申請
区指定の申請書・工事見積書・設置工事図面・工事着工前の現況写真・当該建物に係る登記簿謄本を提出します。
2.区の申請受理・助成金交付決定
助成金交付決定通知が発行されます。 ※申請書類提出から3週間程度を要しました。
3.工事実施
助成金交付決定通知受領後に工事開始しなければなりません。
4.工事完了報告
区指定の工事完了報告書・設置工事図面・設置後の写真・工事費用の領収証の写しを提出します。
5.区の完了報告受理・助成金交付確定・助成金の支払い
※工事完了報告書の提出時期に応じて、11月・翌年2月・翌年4月の計3回の助成金支払時期が設定されています。
今回、実際に助成金交付手続きを行う中で、注意が必要であった点は、
対象はあくまでも集合住宅の共用部分であることでした。
現在、1棟の建物内に賃貸部分とオーナー宅部分が併存する構造の、
いわゆる併用住宅については、オーナー宅部分のための照明は、助成の対象にはなりません。
また、この助成金は、自治体において毎年度予算措置を講じて実施されており、
確保できた予算額に申請額が達した時点で、助成金申請受付終了となるため、
新年度開始とほほ同時に申請をする、といった早期の対応を行いました。
その他に、対象となるLED照明器具の数は、交換する既存の蛍光灯照明と同数まで、
助成金額は、機器設置費用の5分の1(上限20万円)で、
機器設置費用とは、「器具費」と「設置費用」の合計額として、
消費税は含まない、などの細かい基準が設定されていました。
こうした取り組みは、環境への配慮という地球規模での貢献にもつながりますが、
賃貸物件においては、何よりも日々の賃貸経営に掛かるコストの削減に寄与できるものと考えます。
LED電球は、蛍光灯と比較して寿命が長く、以前の蛍光灯と比較して電球交換の頻度が減り、
LED電球自体の価格も以前よりは割安になっています。また消費電力も抑えられる、といったメリットもあります。
他の自治体でも類似の制度を導入しているケースもあるかと思いますので、
各自治体のホームページや広報誌などを是非ご参照頂いて、
制度の内容を確認頂きながら、ご活用ください。
仮に、自治体に同様の制度がない場合でも、
中長期的な視点でのコスト削減の1つの方策としてLED照明化をご検討頂ければと思います。
本店 運営推進事業部
岡野明徳