道路交通法の改正と敷地の有効活用
今年の7月1日、改正道路交通法が施行されました。今回の大きな改正内容は、原動機付自転車の一類型である「特定小型原動機付自転車」が創設されたことです。いわゆる電動キックボードがこれに該当します。
以下の基準を満たす電動キックボードは、16歳以上の人は免許なしでも運転することが可能となりました。
【特定小型原動機付自転車の基準】
・車体の大きさ
長さ 190㎝以下 幅 60㎝以下
・速度制限
時速20キロメートル ※歩道を走行する場合は、時速6キロメートル
・最高速度表示灯 完備
・ヘルメット着用 努力義務 など
電動キックボードの普及により、既存の交通手段ではカバーできなかった短距離移動手段の整備・補完、ガソリンを使わずCO2排出を抑制できる移動手段の拡大などの効果が期待されています。
現在この電動キックボードのシェアサービスが拡大しており、都市部を中心に、設置スポットが急速に増加しています。このシェアサービスは、設置スポットでシェアした電動キックボードを移動先に近い別の設置スポットに返却できる仕様のものがあり、設置スポットが増えることで、シェアサービスの利便性がより向上することになります。
この設置スポットが、敷地の有効活用の新たな手段として今注目されています。
これまで一般的に敷地の有効活用として、自動車駐車場が多く採用されていました。しかし自動車駐車場は、ある程度のスペースの広さが必要です。例えば賃貸物件の敷地内にスペースがあっても、自動車を駐車するにはスペースが小さい場合、活用方法がなくデッドスペースとなってしまっていました。
しかし電動キックボードのシェアスポットは、自動車駐車場よりも小さいスペースで確保することができます。自動車駐車場として運用するには小さかったスペースでも計画できるメリットがあります。
またスポット設置に要する費用も少なく、(場合によっては費用が掛からないこともあります。)スポット設置後の維持・管理についてもシェアサービスを運用する企業が負担するケースもあります。そして、シェアサービスを運用する企業がスペースを土地所有者から借りることで、賃料収入を得ることにもなります。
賃貸物件の計画にあわせて敷地内の自動車駐車場を計画したものの、自動車離れが進む昨今、駐車場利用者がなかなか見つからず、自動車駐車場が長期間空いた状態となっているケースも見られます。こうした状況を改善させる方法として、自動車駐車場をシェアスポットに変えていくことも、その1つになるかもしれません。
電動キックボードのシェアサービスの収益性が見込める都心部などのエリアでは、シェアスポットの設置が、敷地の有効活用の新しい手段として期待できるといえるでしょう。
運営推進事業部
岡野 明徳