賃貸経営メールマガジン

失火法(失火責任法)と火災保険の重要性について

法律・条例・制度
2023/3/16

今回は失火法(失火責任法)と火災保険の重要性についてお話ししたいと思います。

冬季期間は空気が乾燥するため火災が多くなり、痛たましい火災事故が連日の様に報道されています。

2022 年 1~6 月までの日本で発生した総火災件数は 20,417 件となっており、建物火災は 10,622 件約半数を占めております。

 

また、火災の原因上位 10 は下記となっております。

1.焚火(10.6%) 2.放火(9.5%) 3 たばこ(9.0%) 4.コンロ(6.8%) 5.火入れ(6.6%) 6.電気機器(4.4%) 7.配線器具(3.8%) 8.電灯、電話等の配線(3.8%) 9.ストーブ(3.5%) 10.マッチ、ライター(1.7%)

賃貸住宅で火災によって損害を被るケースは入居者様が火元となる場合はもちろんですが、他からの延焼被害を受ける場合も考えられます。

木造建物が多い我が国は特に延焼被害が拡大し易く、首都圏においては隣地との近さ故に被害が拡大するケースもあります。

 

【失火法(失火責任法)について】 

失火法(失火責任法)は正式には「失火ノ責任ニ関スル法律」といいます。

この法律では「失火(過失による火災)の場合は損害賠償しなくて良い。

ただし重大な場合を除く」といった内容となっており、明治 32 年に定められた法律です。

 

つまり自宅の火災で隣家に火が燃え移ってしまったとしても「重大な過失」がなければ隣家へ賠償しなくて良いことになります。

しかし逆に言えば隣家の火災で自宅が損害を受けても、火元の家主からは賠償してもらえない場合があるという事です。

一方で「重大な過失」の場合は失火法の適用外とされており損害賠償責任が発生します。

※重大な過失は「ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」とされています。

 

【2016 年 12 月 22 日に発生した糸魚川大火について】 

2016 年 12 月 22~23 日にかけて新潟県糸魚川市で大規模火災が発生し、住宅 147 棟が被 災(うち 120 棟が全焼)、約 4 万㎡が焼失し、被害総額は 30 億以上ともいわれておりま す。

被災した建物には建築から長い年月を経た木造物件も多く含まれており約 30 時間に わたって燃え続けました。

 

出火元は中華料理屋の調理場からで中華鍋をガスコンロの火にかけたまま外出、鍋の中身 を発火させ出火、強風もあり延焼範囲が拡大し 17 名が負傷しましたが幸いにも死者はで ませんでした。

中華料理屋の店主には禁固 3 年執行猶予 5 年の判決が下されました。

本件でも失火法により民事の損害賠償責任は免れましたが仮に損害賠償責任を問われた場 合でも個人で運営している中華料理屋が高額な支払いをするのは難しいと思われます。

 

【火災保険の重要性について】 

前述したような火災延焼被害があった際には火元からの賠償による復旧が期待できず、建物所有者が加入している火災保険による資金準備が必要になります。

建物の耐用年数、経過年数により保険金の支払額に変動のある「時価契約方式」と建物の耐用年数、経過年数に関わらず同等の物件を新たに建築あるいは購入するのに必要な支払いのある「新価契約方式」があります。

※新価契約方式、時価契約方式は限度額でのお支払いになります。

 

火災保険の内容を一度ご確認し、火災保険の見直しを定期的にする事をお勧め致します。

昨今の自然災害、異常気象により火災保険の掛け金は増加の一途をたどっておりますが、 特に地震大国の日本においては地震保険のニーズも高まっております。

 

火災保険、地震保険は使用する事案が発生しない事が一番ですが「備えあれば憂いなし」 という格言もありますので、いつ発生するか予測ができない災害に備える事が重要になると考えております。

 

【災害に強い構造体】 

失火法が定められた明治 32 年は木造建築物が数多く密集しており、一度火災が発生する と延焼するケースが多々ありましたが、昨今は不燃材料による建築資材での施工や鉄筋コ ンクリート造、鉄骨造の割合が多くなり延焼被害も少なくなりました。

 

トルコ・シリアで大規模な地震があったばかりですが、日本も向こう 30 年以内に首都直下地震や南海トラフ地震が高確率で来ることが予想されております。

阪神淡路大震災では旧耐震(昭和 56 年 6 月 1 日以前に建築確認された建物)の家屋が倒

壊、火災等により多くの人的被害が発生しております。

 

賃貸住宅においても震災に強いコンクリート造や制震、防耐火鉄骨造のニーズが高まっております。 

震災用物品や食料等の備蓄も重要ですが、震災により建物の倒壊や火災を防ぐ事が最重要になると考えております。

当社では賃貸経営を 360°全方位からサポートさせて頂いております。

賃貸経営でお困りの方や新築、建替えをご検討の方がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

本店  アンサー事業部
大前 優

PICK UP
全カテゴリー注目NO1

RECOMMEND
オススメ記事

TOP