賃貸経営メールマガジン

不動産の表示に関する規約の法改正 ~賃貸計画時の注意点~

入居者募集建築計画外構計画
2022/8/18

2022年9月1日より改正施行されることとなりました「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」及び「表示規約施行規則」について、改正内容のうち賃貸物件の入居者募集上影響が大きくなる可能性がある部分をご紹介させていただきます。

 

上記改正について不動産公正取引協議会連合会より公表しております「表示規約同施行規則 主な改正点」等の参考資料のURLを下記に貼付させていただきますので、お時間があるときにでもご一読ください。

「表示規約同施行規則 主な改正点」参考URL

https://www.sfkoutori.or.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2022/06/20220601_kiyaku-kaisei_leaflet.pdf

「不動産の表示に関する公正競争規約」参考URL

https://www.sfkoutori.or.jp/webkanri/kanri/wp-content/uploads/2019/01/h_kiyaku.pdf

※ともに不動産公正取引協議会連合会より引用

 

まず、「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」及び「表示規約施行規則」は、賃貸物件の入居者募集をする際などのマイソク図面やインターネット広告等の表示に関する規約を定めたものになります。

今回は厳しくなってしまったネガティブな改正点について触れてまいります。

 

賃貸物件で特に大切な表示としましては、最寄り駅までの距離(所要時間)でありますが、今回はこの最寄り駅までの距離(所要時間)について改正されることになりました。

 

物件から最寄り駅までの距離(所要時間)というものは、入居者募集に大きな影響を及ぼしますので、可能な限り最寄り駅まで近く感じてもらえるように表示したくなる心情が働きます。

例えば、建物のメインエントランスから最寄り駅までを計測すると8分で表示ができる。一方で最寄り駅寄りの建物の隅からだと7分で表示ができる場合があると仮定しましょう。今回の改正ではこれが禁止されます。

改正後はあくまでも【建物の出入り口】を起点としなければならず、上記の例の場合はメインエントランスからの徒歩8分でしか表示できなくなります。

 

さて、7分が8分になったところで、皆様の感覚はいかがでしょうか?

私個人的にですが、問合せ数が減少する等にはつながらないと感じます。

よほど規模が大きい物件等を除き、メインエントランスと最寄り駅寄りの建物の隅までは、せいぜい変わって1~2分であることが大半なのではないかと考えられますので、7分が8分になったところで入居促進には全くと言ってよいほど影響は限られると考えられるからです。

 

入居促進に影響があるとすれば、最寄り駅寄りの建物の隅より最寄り駅まで徒歩4~5分や徒歩9~10分、徒歩14~15分の賃貸物件です。

これらの物件は場合によっては、

・徒歩4~5分の物件 ⇒ プラス1~2分で徒歩6分になる可能性あり

・徒歩9~10分の物件 ⇒ プラス1~2分で徒歩11分になる可能性あり

・徒歩14~15分の物件 ⇒ プラス1~2分で徒歩16分になる可能性あり

になりかねません。

 

今はインターネットやアプリのお部屋検索ポータルサイトを使用して、お部屋探しをすることが主流です。皆様、ご存知であると思われますが、お部屋検索ポータルサイトの最寄り駅までの距離(所要時間)の検索項目は大半が5分刻みであることが多いです。

つまり、今まで徒歩5分以内、徒歩10以内、徒歩15以内の検索にかかっていた物件が、今まで通りの検索にかからないことがあり得ます。

この場合、物件情報の露出力が低減し、問合せ数減少に影響する可能性があります。

 

特に徒歩14~15分であった物件は影響が大きいかもしれません。

一般的に徒歩圏内と言われる距離は徒歩15分以内と言われております。

※あくまでも一般論で個人差がありますので、なかには20分圏内が徒歩圏内という強者もいらっしゃるかもしれませんが…

それが、徒歩16分となりますと16分以上でお部屋を検索される方は非常に少なくなってくる可能性がありますので、問合せ数について多少の影響ではなくなってしまうかもしれません。

 

しかしながら、これらの場合でもまだ望みがあります

前述の例では敢えてメインエントランスから最寄り駅までの仮定をさせて頂きましたが、あくまでも【建物の出入り口】を起点とすればよいのです

すなわち【建物の出入り口】を起点ですから、「建物内からの動線で外部に通ずる自転車置場等が他にある」や「外にあるゴミ置場が建物内から行ける」等のサブエントランスが存在している建物の場合、サブエントランスから最寄り駅までの距離(所要時間)がメインエントランスからと比較し、短い場合はサブエントランスを起点として採用してもよいのです。

※自転車置場やゴミ置場以外でもただの裏口等のような、とにかく出入口であればいいようです

 

ですから、今回の改正によりメインエントランスから最寄り駅までの距離(所要時間)が長くなってしまい、影響がありそうな例に該当してしまっても諦めるのはまだ早いのです。

 

今回の「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」及び「表示規約施行規則」の改正により、賃貸計画時の注意点が増えてしまった感がありますが、今回のように

「どうしてもメインエントランスはここにしたい!!でも最寄駅から遠くなってしまう…。」

「じゃあ、建物内から行けるサブエントランスを設けて最寄り駅まで近くなるようにしよう!!」

などのように、こだわりを維持しつつデメリットが出ないようにする方法はわりとあります。

 

賃貸計画時には他にもたくさんの注意点や本当に気にすべき盲点があります。

弊社では賃貸管理会社目線で今回の記事のようなリスクヘッジかつ最大化ができる無料の賃貸建築コンサルティングを実施しておりますので、賃貸計画をご計画時にはお気軽にお問合せください。

 

本社 アンサー事業部

夏 啓安

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