新耐震基準でない賃貸建物の取り扱い
最近、中古戸建てを賃貸するオーナー様が増加傾向にあります。
国土交通省の発表では1998年から2018年までの20年間で、日本の空家は1.5倍に増えています。
賃貸用または売却用を除くと349万戸あり、その内一戸建て(木造)は240万戸になります。
2008年から日本の人口が減少しているのが原因と言え、2023年より世帯数が減少に転じるので、ますます空家は増加するでしょう。
しかしながら、コロナ禍により戸建て賃貸の人気も上がっております。
多少駅から離れていても部屋数が多くテレワークに最適や、周りに生活音で迷惑をかけたくない、外出できないので家での生活を充実させたいなどが人気の理由です。
中古の戸建てを貸し出す際の壁となるのが新耐震基準なのか、旧耐震基準の建物なのかです。
昭和56年に建築基準法が改正され、新耐震基準となりました。
賃貸として貸し出す際に重要事項説明書にて旧耐震基準の場合(昭和56年前の建物)は、耐震診断をしているかの有無を入居者へ説明しなければいけません。
6月には石川県で震度6弱の地震があり、南海トラフ巨大地震や首都直下地震が今後起こると予測されている中では建物の耐震性能は入居者にはとても重要になります。
旧耐震基準の場合に耐震診断をし、倒壊の恐れがあると結果が出ても耐震補強にて耐震等級1を取得すれば、現耐震基準と同じ強度を持った建物と重要事項で入居者に説明して貸すことができます。
しかしながら耐震等級1は現行の新耐震基準の建物であり、大地震に耐えるというものではありません。
新築では最も高い耐震等級である3を取得できます。
今現実に起こっている問題としては、耐震補強をして耐震等級1を取得しても、貸し出した戸建て賃貸も劣化していきますし、元々古い建物ということもあり、何年貸し続けられるかの判断が難しいです。
耐震補強をして貸し出し後10年後を目安にして、10年後には耐震補強代回収を含め、更に理想の利益を目指せるのか。耐震補強する価値はあるのかの判断が必要です。
耐震補強をしても10年後に利益を出すことが困難と判断した場合は、安い建築費で建替えてしまった方が30年以上は持つでしょうし、入居率も高くなります。
耐震補強は貸す上でとても大事な工事ですが、見た目には入居率が上がる工事ではなく、むしろ設備などを新しく交換して見た目に費用を掛けた方が入居率は高くなります。
空家を所有している、古い賃貸を所有しているなど、お困りな方は是非お気軽に野﨑までお問い合わせください。
アンサー事業部 野﨑 正裕