『不動産売買での物件調査費用』
こちらのデータは、首都圏のある私鉄の最寄駅の単身向け間取りのマンションの実際の売出事例の一部です。(2022年4月上旬時点のデータです。)
今から約30年前に賃料収入を期待できる投資物件として販売された、現在多く売りに出されている事例です。30年前に物件を購入した所有者の方が、ローンの返済に目途が立ち、当時現役世代であった方が定年退職を迎える年齢となり、今後の所有不動産の取り扱いを検討され、売却するという結論を至っているようです。
上記の表をご覧いただいたように、売出価格がかなり低い価格帯であることがわかります。不動産を売却しようと考える際、一般的には仲介業者に売却へ向けての業務を依頼するケースが多いわけですが、取引が成立して最終的に仲介業者が受け取れる媒介報酬(いわゆる仲介手数料)は、成約した売買価格に応じて決まります。媒介報酬額は売買価格に応じて、次のように規定されています。
このように売買価格が低くなることが予測される場合、仲介業者が受け取れる仲介手数料が少額になり、必要な物件に関する調査に要する費用をはじめとした経費を賄うことができず、結果的に低価格の物件の取引を仲介業者が敬遠してしまう状況となりました。
こうした状況が取引の活性化の妨げとなり、空家数の増加の原因の1つと指摘されていました。
そこで特例措置として、売買価格400万円以下の空家等の仲介手数料(売主側から取得する分)については、18万円を上限に現地調査等に要する費用に相当する額を上乗せして受け取れるようになりました。(既に2018年から適用されています。)これにより仲介業者が低価格の物件の取引も引き受けるようになることが期待されています。
前述のとおり仲介業者が取引対象となる物件に関する調査を行いますが、実際に費用が発生する調査とは具体的にどのようなものでしょうか。ここでは分譲マンションの取引に的を絞って主要なものをお話いたします。
1.登記簿謄本の取得
取引の対象となる物件の登記簿謄本を取得し、物件の概要や権利関係を確認することになります。
法務局の窓口で交付を申請する場合、謄本は1部600円の手数料が必要です。また、登記簿に付随して公図と言われる地図や測量図、建物図面も取得することとなり、これらの図面は1部450円の費用が発生します。
2.役所の図面の取得
物件が所在する市区町村役所・役場へ出向き、都市計画や建築制限の内容の調査、建物の敷地が接する道路の確認、建物建築時の確認申請に関する調査、上下水道などの埋設管図面の取得、などを主に行います。現在は多くの市区町村でホームページからの調査が可能となっており、各種図面の取得も容易になり、以前と比較して格段に調査の利便性は向上していますが、上記の調査項目についての書類や図面の交付には、数十円から数百円(1部あたり)の費用が発生します。
3.重要事項調査報告書の取得
取引対象のマンション全体を管理する管理会社が発行する書類で、取引対象号室の管理費・修繕積立金の額やその滞納額、駐車場の空き状況、大規模修繕の履歴や予定、管理事務所の管理形態、アスペスト使用調査・耐震診断調査の有無など、取引に当たっての重要な事項が記載されています。
通常この報告書に加えてマンションの管理規約の発行も請求します。管理会社によって多少のバラツキはありますが、おおむね15,000円前後の費用が手数料として発生します。
1~3の書類は、取引に当たって買主に伝えなければならない事項であり、売買契約締結前に買主に交付する「重要事項説明書」に記載することになります。
その意味でも取引において必要経費となるのが、これらの物件調査に要する費用ということになります。この他にも、法務局や役所、物件現地までの交通費や人件費なども調査費用に相当するものとして考えられます。
こうした費用を正規の仲介手数料に上乗せすることを売主側と仲介業者が合意することで18万円を上限に仲介業者が仲介手数料を受け取れることになっています。
弊社管理物件のオーナー様からも単身者向けの賃貸マンションのご売却に関するご相談を多くお寄せ頂いています。仲介手数料の額だけでなく、そもそも売買価格はどの程度の額になるのか、売却までにどのような手続きを行うのか、などご不明な点等がございましたら、是非お問い合わせください。
間取りのご提案~賃料査定等全て弊社でご対応いたしますので、本エリアにご興味がある方、計画をご検討の方はぜひご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本社 運営推進事業部
岡野 明徳