『木材価格が高騰?「ウッドショック」とは』
2021年、世界的な懸念事項として住宅用の木材の不足と価格高騰が挙げられており、
不足している原因や日本の住宅市場に与える影響を考えてみます。
■ウッドショックとは背景と原因
短期間で急激に木材が不足し価格の高騰が起きるのを『ウッドショック』と呼び
2021年4月時点で、世界的な木材の価格は前年を大幅に上回っていると言われています。過去にも1990年、2008年とウッドショックと呼ばれる状況がありましたが、その時もそして今回も、この問題の発祥はアメリカです。今回のウッドショックは、新型コロナウィルスの影響が色濃くあります。感染当初こそ住宅市場は冷え込んだものの、在宅ワーク、リモートワークなどの普及によってアメリカ国内の住宅需要は右肩上がりに急増。需給のバランスが崩れ、価格の高騰に歯止めがかからない状態になっています。アメリカでの木材需要の高まりが日本にまで波及するのは、日本の住宅で使用している木材の大半が輸入に頼っている現状があるからです。今回のウッドショックは中国の住宅市場の需要増も原因していると言われ、そのうねりはこれまで以上になるのでないかと、業界関係者の間で懸念されています。また、木材が届かないことで工期が遅れるなどのトラブルも無視できない状況に置かれてきており、今後の動きが注目されております。
■日本の木材供給量
輸入木材に頼れないなら国産にシフトすればいいのでは、とは誰もが考えることです。実際、日本の国土の7割は森林と言われていますが日本の木材自給率は37.8%と決して高い数値ではありません。ここにはいくつか問題があると考えられており、ひとつは急激な需要増に対してすぐには供給を増やせない現状の体制。そしてもうひとつが過去の森林政策の誤りです。簡単に供給を増やせない理由は、商用の木材を市場に出すまでには一定の時間がかかるためです。
■ウッドショックの影響はいつまで?
日本の林業、また木材を利用する建築、不動産業界も現状を打開すべく今回のウッドショックへの有効策を即座に示すのは困難です。ウッドショックが日本の住宅市場にいつまで影響を与えるのかは今のところ情報を集めながら静観するしかないのが現状です。
不動産業者の営業マンとしては「早く建てないと建てられなくなりますよ」という営業トークとして利用されそうではあります。それは間違ってはないのですが、現状、全く建てられなくなりそうだというほどの悪い見通しでもないので、この件に限らず賃貸住宅を建てるべきはその人その人の然るべきタイミングで決めるべきだと思います。また工期が遅れることで、住宅ローン控除やグリーン住宅ポイント、住宅エコポイント等々の制度の締め切りに間に合わなくなるのでは、という声もありますが、これも制度期限が延長される可能性もありますので、やはりこのために焦って決めるのは得策とは言えないと思います。
このことから、常に新しい情報にアンテナを立てて動向を見守る必要がありそうです。
弊社では特に費用を頂かず、賃貸建築・計画のコンサルティングを実施しております。
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
城東支店 アンサー事業部
原田雅章