賃貸経営メールマガジン

『社宅の現状と賃貸経営への影響』②

不動産市況マーケティング
2019/2/21

前回は社宅を取り巻く環境で、社有社宅から借上社宅へと大きく変わっている状況をお話いたしました。
前回の記事はこちら→ 『社宅の現状と賃貸経営への影響』2018/12/20

今回は社宅の主流となった借上社宅の増加が、賃貸経営をされるオーナー様にとってどのようなメリット・デメリットがあるか、という視点でお話致します。

 

まずメリットとしては、借上社宅が増えるということは、イコール賃貸契約の増加に直結することが挙げられます。社有社宅が中心の時代では現れなかった賃貸需要が新たに発生することを意味します。

 

個人契約が困難な例えば10万円を超えるような高額賃料帯の賃貸物件を法人が借上社宅として契約してもらえることがあります。通常、借上社宅の賃料は、おおむね企業とその従業員が半分ずつの割合で負担するケースがほとんどです。個人ではなかなか契約できない高額賃貸物件も、法人契約で従業員個人負担が半分で入居が可能となります。

 

一般的に法人契約は個人契約と比較して家賃滞納リスクが低いと言われます。契約する法人の規模が大きくなるほど資本力や信用力が増し、その可能性はより低くなります。法人としても借上社宅の賃料が経費(費用となり収益から控除されます。)となって節税効果を発揮することから、家賃を払い続けるメリットが大きいと言えます。

 

一方、デメリットとしては、特に賃貸契約更新時を中心に、賃料値下げの依頼が借主法人から入ることが多く見られます。メリットのところでもお話致しましたとおり、契約賃料のうち一定割合は従業員の個人負担となります。個人負担の軽減の強い希望が根底にあり、賃料値下げの依頼が多く寄せられている現状があります。

 

1つの法人が賃貸物件の中の複数の貸室を借りている場合、4月や9月の転勤が発生する時期に一斉に退去となる可能性があります。特に原状回復費用が予想以上に一度に発生するなどのリスクを想定しておかなければならないでしょう。

 

『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』の厳格な適用を借主法人から求められることが多くあります。借主側と合意が出来れば、当ガイドラインとは異なる原状回復費用の負担割合(借主と貸主)を規定することは可能です。法人契約の場合、「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・既存を復旧する費用を借主が負担(自然損耗・経年劣化等の修繕費用は貸主が負担)」という当ガイドラインの原則に沿った原状回復費用の負担を求められます。

 

以上、メリット・デメリットの双方をお話しましたが、デメリットとして挙げた項目は、法人契約に限らず、一般的な不動産賃貸の契約においても見られる状況と一部重なる部分もあると言えるでしょう。その意味では、法人契約は、賃貸経営をされるオーナー様にとっては比較的メリットを感じて頂ける契約である、と言えるのではないでしょうか。優良な法人契約を1件でも多く締結できるよう、弊社でも入居者募集時のアピールに努めていきたいと考えています。

 

運営推進事業部 岡野明徳

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