なかなか悩ましい...『地震保険』について
6月18日の朝、大阪の北部を中心に最大震度6弱の地震が発生し、多くの方が被害に遭われました。また、大阪府の6月26日時点での住宅被害状況は、1万棟を越えた被害が出ています。阪神・淡路大震災から23年、新潟県中越地震から14年、東日本大震災から7年、熊本地震から2年。それだけではなく、震度5を超える地震が各地で頻発する昨今、以前からいわれておりますがこのレベルを超える地震がいつどこで起こってもおかしくないでしょう。
このような大きな地震が起こるたびに注目されるのが旧耐震基準の築古家屋の『建替』や『耐震補強』、『地震保険』です。
既に加入されている方、ご存知の方も多いかと思いますが、『地震保険』については商品内容(特に保険金額)に誤認が多く見受けられますので、以下に触れていきます。
まず『地震保険』とは、居住用建物と家財を対象に、「地震・火災・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流出する損害に備える地震災害専用」の保険です。『地震保険』は火災保険の付帯特約のような側面を持っていますので、地震保険単独で加入することはできず、必ず火災保険とのセットでの加入となります。
保険料については地域によって異なりますので高い・安い、と一概に比較することはできませんが、保険料の割引制度があります。(重複不可)
また、地震保険の加入率ですが
(下記URL・地震保険の都道府県別付帯率 「付帯率、世帯加入率」参照)
http://www.sonpo.or.jp/news/statistics/syumoku/
2002年度~2016年度までの推移を見ることができます。
付帯率のデータを見ますと、火災保険に地震保険を付帯して契約した方が2002年度では全国平均で付帯率33.3%でしたが、2016年度には62.1%と2倍近く増えていることがわかります。
その年の年度末における「全世帯」の地震保険加入率である世帯加入率のデータからは、1994年度末では全国平均加入率が9%でしたが、2016年度末には30%を超え、3倍以上増えています。
東京・千葉・神奈川・埼玉など人口が多い地域や津波による被害の補償は地震保険でしかない為、海に面している都道府県の加入率が比較的高くなっていることがわかります。
最後に地震保険のメリット・デメリットを挙げてみたいと思います。まずメリットとして考えられる点は
・地震による損害は地震保険でしか備えることができない。
・賃貸併用住宅の場合、所得控除が受けられる可能性がある。
・政府が関与している為、安心かつ迅速な支払いを受けることができる。
などが考えられます。
対するデメリットは
・掛け捨ての為、無駄になる可能性もある。
・保険金額に制限や上限があり、同じ建物を建て直すだけの保険金が補償されない。
・同じ構造の建物であっても、都道府県によって保険料に差がある。
などが挙げられます。
しかしながら、テレビや新聞などで目にしたことがあるかと思いますが、地震調査委員会が発表している、今後30年間に大地震が起きる確率を示した地震動予測地図を見ると、千葉市では85%、横浜市では82%と高い確率の数字が出ていますが、前述の大阪北部地震に関連していると予測された3つの活断層の地震発生確率は0~3%と予測されていました。確率が低いところでもこれだけ大きな地震が起こってしまっています。今回の件でどれほど地震の予測が難しいかが露呈したのではないのでしょうか。
また、デメリットの部分で「掛け捨ての為、無駄になる可能性もある。」と挙げさせていただきましたが、このような状況である為、無駄になるとは考えない方が増えており、それによって地震保険の加入率が上がっていると言えるのではないでしょうか。
万一に備え大切な資産を守る対策を取ること、少しでもリスクを減らすことを考えることが今までの以上に重要だと言えるでしょう。未加入の方はご加入を再考されることをおすすめ致します。
神奈川支店 アンサー事業部 土屋 一夢