宅建業法改正とホームインスペクション
4月1日から改正宅建業法の一部が施行され、ホームインスペクション(住宅診断)の説明が義務化されました。
義務化されたのは以下の3点です。
①媒介契約時にインスペクション業者の斡旋の可否を示し、媒介依頼者の意向に応じて斡旋を行う。
②重要事項説明時にインスペクションが行われている場合、結果を買主に説明する。
③売買契約締結時に建物の現況を売主・買主双方が確認し、その内容を宅建業者が書面で交付する。
中古物件の売買取引の流通が活性化しない要因の一つに、物件の瑕疵が一般の消費者では、内見しても見つけずらく、購入してからの不具合に不安が残る点があります。その不安を払拭するためのホームインスペクションは、中古物件流通の活性化に一定の貢献をするものと思われます。診断を行う検査員の「既存住宅状況調査技術者」は、すでに2万7000人を超えており、今後さらに資格取得者は増加していくでしょう。
ですがこの改正宅建業法にも運用上において、いくつか問題があります。
今回の改正は、インスペクションの説明の義務化であり、実施を義務付けるものではありません。例えば、すぐに売れるような物件であれば、売主が費用をかけてまでインスペクション行うことは考えづらく、また買主側の費用負担でインスペクションを求めても、わざわざ手間や時間のかかるインスペクションを行わず、インスペクションを求めない別の買主を探して売却するでしょう。
中古であっても住宅の売買は、金額の大きな取引になりますので、売主・買主双方が取引におけるトラブルは避けたいものです。
今後は制度の普及とともに、次はインスペクションの実施自体を義務化していくことが望まれるのではないでしょうか。
アンサー事業部 和田 康幸