更新料裁判 大阪高裁4例目
1.【更新料裁判 大阪高裁4例目】
皆さんこんにちは。今回は佐々木が担当いたします。
更新料をめぐる裁判について、過去3例の大阪高裁の判決について取上げてまいりました。先日、大阪高裁にて4例目の判決が出ましたので、紹介いたします。
平成22年5月27日大阪高裁判決
■賃貸借契約の条件
賃料 月額53,000円
管理費 月額5,000円(水道料金含む)
契約期間 2年間
更新料 更新時に106,000円(賃料の2ヶ月分)
更新事務手数料 15,750円
本件については、『更新料は無効』との判決が下されました。
ただ、従前の大阪高裁の判決と照らし合わせると、特に平成21年8月27日および同年10月29日の判決の際には、更新料の金額が、妥当であるか否かについてが最大の争点でありました。結果、更新料特約は、前者は無効、後者は有効となりました。
本件はどうであったかというと、2年ごとに賃料の2ヶ月分は異常に高いと判断されたばかりでなく、更新料特約そのものが借地借家法第26条および28条に反すると判断されています。
また、直接判決に影響があるとは限りませんが、本件と従前の判決との違いは、原告が貸主で、被告が借主ということです。
従前は、借主が、貸主に対して、支払済みの更新料について返還を求めていたのですが、本件は、貸主が借主に対し、未払いの更新料を支払うよう求めていました。
今回の判決以前は、更新料特約について、内容が相当の範囲内であれば(更新料の額が2ヶ月ぐらいまでであれば、等)有効と認められるケースもあるだろうと考えておりました。
しかし、今回の判決により、尚いっそう『更新料は無効』というムードが、賃貸住宅市場に広がるでしょう。
本件の判決は、従前の判決と矛盾している点があり、今後行われる同様の件について、判例としての価値は高くないと専門家が考えてもおりますが、将来、最高裁の判決結果などで、更新料が完全に無効と判断されるなど、最悪の事態を想定し、大家さんや、賃貸管理会社は現段階から、さまざまな対策をとっているようです。
次回以降に、その対策について取上げたいと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。