賃貸経営メールマガジン

更新料裁判 最高裁で判決

更新料
2011/8/4
賃貸経営・アパート経営ならヒロ・コーポレーション

皆さんこんにちは。今回は佐々木が担当いたします。
更新料は消費者契約法に違反するかどうかで争われてきた3件の事案について、先日7月15日に最高裁判所において、『更新料は原則有効』との判決が下されました。更新料をめぐる裁判については、この場で何度も取上げてまいりました。今回の判決により、どのような影響が生じるのか述べていきたいと思います。
まず、最高裁判所は、

?更新料は、賃料の前払いや補充、賃貸借契約を円満に継続するための対価など、複合的な性質を有すること。

?更新料については、賃貸借契約書に明記され、かつ貸主と借主との間で明確に合意がなされている場合、貸主と借主との間に情報や交渉力に格差があるとはいえないこと。

?更新料は一部の地域のものであるが、更新料の支払をすることが存することは公知であること。

?裁判上の和解手続等においても、更新料条項が公序良俗に反して無効とする取り扱いがされてこなかったこと。

以上のことから、更新料条項は、更新料が高額過ぎないなどの特段の理由がない限り、消費者契約法第10条には違反しないと判断したのです。3件の事案について、更新料は一番高額なもので1年ごとに賃料の2.2か月分という事案もありましたが、いずれも更新料が高額すぎるとは認めませんでした。

 

賃貸経営をする側から見れば、今回の判決を受け、ほっと胸をなでおろしている方が多いと思います。もし、更新料が無効と判断されていた場合、今後の更新料取得が出来なくなるどころか、消費者契約法が施行された平成13年4月以降で取得済みの更新料をも返還しなければならない事態となったはずです。

今後、更新料の取り扱いはどのようになってゆくのでしょうか。更新料は無効との判決が大阪高裁で下されてから、更新料の減額、あるいは更新料そのものを無しとすること、また、『めやす賃料』で礼金や更新料を合算し、1月あたりにかかる費用を示すなど、さまざまな対策がとられてきました。更新料有効の判決により、直ちにその他策が取りやめられ、元に戻ることはないと思います。

借手市場の傾向が強まる賃貸市場において、いったん減額や無しとした更新料を元に戻すのは、借り手に選択されにくくなるでしょう。むしろめやす賃料など、借主側に賃貸借契約においてかかる費用を、明確にしていこうという動きはさらに高まると思います。

最高裁判所での更新料有効判決により、遡って受け取った更新料を返還しなければならないリスクは大幅に減りました。しかしながら、空室対策などの観点から、更新料を設定していると競争力をなくすという懸念もあります。今後は市場の動向から、更新料の取り扱いをどうするべきか、考えていく必要があると思います。

 

今回はここまでです。お付き合いありがとうございました。

 

 

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