将来の支出で考える事業収支計画
皆様には良い新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は多くのご登録をいただきましたことに感謝を申し上げます。
本年も『賃貸経営を成功させるメールマガジン HIRO’S STYLE』が皆様の賃貸経営に役立ちますよう、さらなる充実をはかり毎週配信してまいります。
2012年初号は、清水が担当いたします。
皆様が賃貸経営を始める理由は個々に異なりはしても、息の長い黒字成功は誰もが共通して望むことです。そのための事業収支計画は大変重要であり、資金を投じたり銀行から借り入れるからには、シミュレーションによる経営イメージ作りが必須です。
賃貸経営は家賃収入を得ることが目的ですが、初めて賃貸経営されるオーナー様は未経験ゆえ、収入ばかりにイメージが陥りやすく、経営する上で生じる必要支出や将来のリスクまでは見落としがちです。
経営リスクは様々ありますがここでは収益に係わる費用負担について触れます。
〇継続的収入にあたるもの
賃料
管理費(共益費)
〇一次的収入にあたるもの
礼金
更新料
※敷金は預かり金で含まれません
〇賃貸経営で確実に係る支出
固定資産税・都市計画税
住宅ローン
管理委託料(自主経営では不要)
仲介手数料、広告料
損害保険料
修繕費用・設備交換費用
建物維持管理費(植栽・清掃メンテナンス)
雑費(共用部の水道光熱費・通信費など)
収入はおおよそ見込みが立つ一方で、支出には定期的な経費の他にも修繕などの実費負担が含まれるので、「見えない費用」が発生しがちです。
これらの収支で将来に渡り黒字を保ち、かつ手残りが多ければ言うことはありませんが、満室稼働していない、入居者に家賃滞納が生じるなど経営内容が悪くなれば、収支計画は直に狂い始めます。また時を経て解消しにくくなる問題も増えていきます。建物は築年数を増す毎に劣化が免れず設備も古くなり、入居促進に立ちはだかります。
事業収支計画作成の際には、修繕費用や維持管理費の確保・積み立てを考慮し、突発的な費用負担が生じても耐えられる前提条件での作成が望ましいでしょう。
ところが、建築メーカーや工務店の営業マンのなかには、相場賃料を高めに設定し、修繕などに係わる費用は安めに見積もることで利回りを確保したり、さらなる融資を受けやすいよう表面上は高収益な計画に見えてしまう見積りを出すケースも見受けられます。妥当かどうかなど、素人ではなかなか判断がつきません。
将来の支出について考えることは重要で、外観の印象を損なうことなく、快適、清潔でストレスフリーな住まいを保つのはオーナー様の義務ではないでしょうか。入居者に愛される住まい作りをしなければ、成功は為し得ないと考えられます。実際、建物が完成してから今まで全く積み立てや必要投資を行わず、空室に脅かされた今、困り果ててしまうというオーナー様も少なくありません。同じ費用でも、少しずつ貯めてきたのと、一度にまてめて捻出するのでは、経営を左右しかねない不安や危険を伴う可能性も高くなります。
一括管理をしてもらっている場合も、丸投げではなく、建物の健康管理は費用が伴うため、所有者も同時に懸念すべきところです。
そのため、1年の経営内容を見直すこの時期にきちんと収支や空室状況の確認をし、経営実態を把握する必要があります。家賃保証がついているから安心なのではなく、実際に満室であって初めて安心できるということです。
立地や築年数など解消できない問題が空室の原因であれば、募集条件の見直しにより空室のままにしておくよりは良いと考えることもできます。
しかし、仕様設備のリフォームや交換により解消できそうなケースは計画当初から予想ができ、必要な投資と考える覚悟も必要なのです。
これから計画するお施主様や、将来に不安を感じるオーナー様は、まず計画に無理がないか管理会社と検討から始めてみてください。入居者に選ばれる住まいの条件に近づく努力を、管理会社と二人三脚で歩んでいければ互いにたいへん心強い存在になると確信しております。
最後までお読みいただきありがとうございました。