入居者のニーズに合わせた動きを
入退去が盛んな繁忙期と言われる時期に突入しました。
アベノミクス効果で景気が上向きになってきたとはいえ、賃金UPが実現するのはまだ先のことで、節制、節約を余儀なくされている消費者の現状は続きそうです。
アットホームが昨年末に集計したアンケート結果によると、学生が希望する家賃は、現在の家賃に比べて9,000円安い。
さらに社会人女性は12,000円も安く、将来への不安を映す結果になりました。
そして単身者に人気の間取りは、やはり1K。
ワンルームは1Kに比べ、10%人気がダウンしています。
重視する設備は、独立したバス・トイレがダントツ1位。
意外だったのが、物件を探す際に写真・動画を見たい、または見て良かったと思うトップ3 。
なんと、「風呂」「トイレ」「キッチン」でした。
居室も大事だが、水回りに重きを置いている入居者が増えてきていることがうかがえました。
さらに、自分がどこに住みたいか、ということも重要ですが、「住んでいるエリアによってその人のイメージが良くなる」と考えている20代が半数近くいるという調査結果もでました。
これらを考慮すると、若者向け単身者タイプを建築する立地や設備が今後ますます重要になってくるといえます。
明治大学、帝京平成大学、東京理科大学、実践女子大などの都心回帰や働き口の多さによって、都心の単身者タイプの需要は見込めそうですが、「だからまだまだ東京の単身者タイプはお薦めですよ!」とあまり単身者に人気のないエリアに、20㎡未満のバス・トイレ一緒の投資用物件を積極的に勧める建築会社が依然としてあることには賛同できません。
今年は増税前の駆け込み需要が話題となっており、2013年9月30日までに請負契約を締結するか、2014年3月31日までに建物の引渡しを受けましょうという営業が増え、それを実行するオーナー様が増え、賃貸物件建築が一時的に活発になると予想されています。
ただ、忘れてはならないのは、その影響により新築競合物件が増えるということ。
同時期に新築の賃貸物件が大量に供給されると、最初の入居者獲得が通常時より難しくなることも懸念されます。
オーナー様自身と建築会社、そして実際に住む入居者の温度差をよく理解し、どの計画地にどの間取りで、どんな設備を備えた物件を建てるべきか。しっかり熟考していただきたいと思います。
安い買い物ではありません。
増税前に!と、迫りくる期限に焦り、建てたあとで後悔することのないよう、建築会社も管理会社も、慎重にお選びいただければと思います。