耐震?制震?免震?vol.2
皆さんこんにちは。本日は黒沼が担当いたします。
気象庁から関東地方の入梅発表があってからというもののその後は雨が降らず・・・
この時期から、建築開始する物件や竣工間近で外構工事を残している物件にとっては、工期に狂いが生じなくていいような気もします。
ただ雨が降る時期には、しっかり降ってくれないと作物の生育に影響がでたり、梅雨の時期だからこそ感じられる風景などの季節感が感じられないのも、少しもの足りないような気もします。
さて前回は【耐震基準を満たした建物とはいったい・・・?】という事で耐震基準の変遷と内容についてまとめてみました。
今回は、「免震」「制震」「耐震」技術の内容について、まとめて見て行きましょう?
まずは、「免震」技術について
免震とは、地盤と建物の間に免震装置(ベアリング・積層ゴム)などを挟み、地震の揺れがそのまま建物に伝わらないようにする構造の事。
地震の際には地面と建物を切り離す技術の為、建物全体の揺れを大幅に軽減する事が出来ます。
当然、建物の揺れ自体を大幅に軽減できるので、家屋内の家具の転倒による事故や家財の損傷リスクも軽減出来ます。
高層マンションなどに、最近多く採用されている技術です。
そのメリットだけを考えれば、すばらしい技術のように聞こえますが一方で東日本大震災の時に生じた長周期地震では、その効果が得られないどころか、「かえって揺れが増幅したのではないか?」「下の階では、揺れが治まっているのに上の階では長時間揺れが継続している」などの問題点やコストが高く一戸建ての住宅には不向きな技術であるデメリットもあります。
次に「制震」技術について
地震から建物を防ぐ為に、揺れを一旦建物の構造部分が受け止めて、地震のエネルギーを制震装置が素早く静める仕組みです。
地震に力がかかって、最も損傷しやすい箇所の柱間や壁などに「制震ダンパー」や「制震パネル」を設置して、揺れの運動エネルギーを熱エネルギーに変換するなどして吸収します。
元々は、大規模な建築物の為に開発された技術ですが、近年では某ハウスメーカーが一時期TVCMでも放送していたように戸建住宅や小規模の集合住宅への採用も増加しています。
「免震装置」と比較してコストが安い事。「免震装置」自体は壁の中などに設置する為、間取りのプランや地盤に対する制約が少ない事。
構造体の損傷が軽減される為、本震後の余震などの繰り返しくる揺れに対しても有効性がある事などのメリットが戸建住宅への普及を推し進めているのかもしれません。
最後に「耐震」技術について
地震の力に対して、建物の構造体の力で耐える技術です。
耐力壁や筋交いなど、在来工法に取り入れらているものが代表的な例です。
全ての建築物必須の要素であり、建築基準法によって耐震構造が厳しく義務付けられているのが、「制震」「免震」との大きな違いです。
「耐震装置の効果範囲」ですが、現行の建築基準法では「木造住宅の耐震基準は震度6程度の地震1回で倒壊しない事」と定められているように、建物に最低限求められるのが「耐震性能」という事が言えます。
つまり「制震装置」「免震装置」は耐震基準をクリアした建物に、震度6以上の揺れに対して建物の損傷を少なくする為、または繰り返しくる余震から建物の損傷を少なくする為に、耐震技術に加えて盛り込む技術であると言えます。
地震対策は重要な要件です。
前回の繰り返しになってしまいますが、現行の耐震基準を満たしていない建物には、一日も早い対策が望まれます。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。