“入居者に借りてもらっている”という意識の重要性
2020年東京オリンピック開催決定に沸き、消費税増税の行方に振り回される9月。
そんな中、消費税増税による住宅需要冷え込み対策の一環として住宅ローン金利の引き下げ競争が過熱しています。そして国土交通省が「フラット35」において、リーマンショック以来の“全額借入”を行うと発表しました。
2014年4月から、頭金なしで住宅を買えるようになるのです。
しかも、その期限は設けていません。
これによって、住まいを賃貸ではなく購入する、という動きがますます高まりそうです。
さらに、8月31日に公表された住宅着工動向によると、着工数は季節調整済年率換算値で97万戸超え(予想)となっており、持ち家・貸家・分譲住宅ともに増加傾向となっています。(昨年2012年は87万戸。)
増税前の駆け込み需要が堅調で、住宅物件数が増加の一途をたどっているのです。
人口は減少傾向にあるのに、物件数は増え続け競合が増えるという図式は変わりそうにありません。
賃貸経営にとっては逆風となる、この2つのニュース。
それを知ってか知らずか、先日問い合わせをいただいたオーナー様からご両親が使用していた戸建て住宅を賃貸に出したい、というご依頼があり、現地で打ち合わせをおこないました。
オーナー様の希望は、
●特に手はかけず現状で貸したい。
●一部屋だけ開かずの間にし、自分の荷物を置いたまま貸し出したい。
(2LDKで居室2つの戸建てを、1つの居室を開かずの間にし、1LDKとして貸出したい。)
●優良な入居者に入って欲しい。
●現状、家賃収入を当てにしているわけではないので、強気な賃料設定でいきたい。
●将来は自分で使用することも検討中。
(入居者には2年前くらいから退去勧告をすれば、出て行ってもらえるだろう。)
というものでした。
この物件は、多少手入れはしていたものの、築年数は40年を超えていました。
浴室や洗面台、キッチンは当時のままで使用感は否めません(トイレはリニューアル済)
リビング以外はすべて和室、昔ながらの砂壁。
ふすまや扉、畳は、日焼けによる変色で黄ばみが目立ちます。
勝手口の一部が破損し、建付不良。
というような状態でした。
オーナー様の希望をうかがったのち、現在は借り手市場であること、入居者の賃貸住宅に対する期待値が分譲住宅の設備並みに高まってきているので少しリニューアルが必要であること、よほどの理由がない限り入居者を追い出すことは難しいこと、あまりに賃料を高く設定してしまうと住宅購入層と競合してしまうことなど、今の賃貸市場について一から説明させていただきました。
一度説明しただけでなかなか納得できないのは当然です。
しかし、オーナー様目線に立った今の意識のままでは、賃貸経営はのちのち立ち行かなくなってしまうでしょう。
中古物件にも新築物件にも言えること。
大切なのは、オーナー様自身が「縁もゆかりもなくその物件を内見した時に、その物件に住みたいと思えるかどうか」です。
残念ながら、入居者にはオーナー様の思い出は関係ないのです。
けれども、オーナー様の物件に対する思いは、入居者に届きます。
入居者のことを考えて、入居者のために行ったことは、入居者に伝わります。
弊社ではメルマガやセミナー、小冊子で再三にわたりお話させていただいていますが、“入居者に借りてもらっている”意識を持つことの重要性はまだまだ浸透していないのだな、と改めて実感しました。
せっかくのオーナー様の大切な資産を有効に使うには。
オーナー様も入居者も満足いく賃貸経営とは。
数十年前の意識のままでは、大きな失敗を招く危険があります。
一方で、20代・30代の若者を対象としたアンケート調査において『一生、賃貸生活で良い』と考えている人は約60%と、半数以上の人が賃貸を視野に入れており、この回答結果を見ても、逆風が吹く賃貸市場において成功しているオーナー様は確実にいらっしゃるのです。
その成功理由の一つは、
“入居者目線に立った賃貸経営であること”に他なりません。
賃貸に関してお悩みのことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
プチリフォーム、リノベーション、建替え、募集方法など、オーナー様の意向を確かめながら、様々な角度から最適なご提案をさせていただきます。