賃貸住宅の防災を考える
首都圏で2013年に発売開始されたマンションのうち、免震や制震構造を採用している物件が前年比の2.7倍に増加したという調査結果が発表されました。
東日本大震災の後に建設・販売された新築マンションの広告には、免震・制震という言葉とともに「耐災型マンション」「防災拠点マンション」「非常用発電機を設置」などの災害への強さをアピールする文句が続くのは、マンション販売会社が防災に対する消費者の関心の高さを察知した上での戦略でしょう。
また既存の分譲マンションでも防災対策マニュアルの作成や災害備品の設置など、分譲マンションなどの持ち家では、防災対策が進んでいます。
一方で賃貸物件の防災対策はほとんど進んでいないのが現状です。
収益が目的の賃貸物件では、災害に対する備えと言えども多額のコストをかけての防災対策は現実的ではないのでしょう。
そこでまずは、賃貸物件での身近な防災対策について考えてみました。
【避難通路の確保】
共用通路に物や自転車が乱雑に置かれ、避難通路の通行の妨げになっている物件は、不要な自転車の撤去・整理を行い、避難通路の確保をしましょう。また同じ事の繰り返しにならないように入居者には災害時の避難通路の重要性を通知して防災の意識を高めてもらう必要もあるでしょう。
【境界塀の安全性】
隣地との境界に立っているブロック塀や万年塀ですが、災害発生時に倒れて通行人がケガをしたり、避難通路を塞いでしまう事があります。
老朽化しているブロック塀や万年塀は、倒壊の危険性があり、特に高さのあるものやヒビの入っているものは危険です。
塀を低くしたり、アルミのフェンスなどに取り替えた方が良いでしょう。
【建物自体の防災機能を高める】
災害は地震だけとは限りません。
例えば近年増えているゲリラ豪雨や大型台風の防災対策も必要です。
長らく建物のメンテナンスを行っていない物件は、屋根の防水や外壁の塗装など、専門家のアドバイスを受けた上で適切なメンテナンスを行う必要があります。
こうして例を挙げてみると、防災対策は同時に空室対策にもなりはしないでしょうか。
通路がすっきりして、駐輪場が整然となり、塀や外装が新しくなれば、内見時の印象も必ず良くなるはずです。
空室対策の効果も期待して、まず身近で出来ることから始めてみてはいかがでしょうか。
アンサー事業部 神奈川支店
和田 康幸