民法改正による賃貸経営への影響を考える
今回は黒沼がお伝えさせていただきます。
この度、民法が制定後以来初めて抜本的に改正されることになります。
(制定は明治29年ですので、約120年ぶりです。)
順調であれば、平成29年から施行されるスケジュールとなっています。
民法が制定された当時と今とでは、社会環境や経済、商慣習などで異なる点も多く、現代の社会環境に合った形で改定しようという流れになったのは当然と言えるでしょう。
改正案の中には、これまで明記されていなかった賃貸契約における敷金の取扱いについても明記されています。
賃貸経営を行う上で気を付けないといけない点は、敷金の返還についてです。
これまでも、平成16年に東京都が策定した「東京ルール」や、国道交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき敷金の取り扱いや、賃借人の負担割合を決めてきました。
今回の民法改正案でも、この点について原則として賃借人に全額返還される旨が明記されています。
また原状回復では、賃借人は通常使用の損耗と経験変化の原状回復義務を負わないとし、それ以外の故意・過失について原状回復義務を負うとしています。
原状回復時のルームクリーニングを賃借人の負担とするような場合は、消費者契約法に違反しない範囲で、賃貸借契約書・重要事項説明書に特約として敷金の取扱いや原状回復の賃借人負担の割合・範囲をきちんと明記するなどして対応する必要がありそうです。
こういった法整備を進めて行くことで、賃貸人・賃借人の双方にとって公平な判断基準ができ、無用な敷金返還トラブルによる訴訟件数が減少すれば業界全体にとっても良い事だと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。