賃貸経営メールマガジン

ペット可は賃料反映できるか

トレンド
2014/2/5

皆さんこんにちは、今週は清水が担当いたします。

いつしかペットブームといわれたのが、今や都内に竣工する新築分譲マンションの実に8割強がペットと暮らせるコンセプト(管理規約に含まれる)になっているといわれます。

エレベーターにペット同伴で乗車中の時は、ペットが苦手な方との相乗りを避ける為に“ペットサイン”を点灯させ知らせる機能も付く時代ですから、もはやブームが生活に定着しハード面もかなり充実してきていると言えますね。

最近の賃貸住宅ではどうでしょうか。ペット対応型は年々増えてはいるものの、分譲には大きく遅れ、需要に対し物件数が追いつかないのが現状のようです。

ニーズがあるのは確かですから、条件にペットを加えることで貸主にとっては

・賃料アップが見込める

・入居一時金が取得しやすい

・入居者のターゲットが明確になりやすい

・入居者の囲い込みがしやすい

等、物件の付加価値が大きな魅力になると考えられます。

しかしながら、ペットを条件に加えるだけで、本当に賃料反映はできるのでしょうか。

ここで『ペット可』と『ペット共生』の違いについて触れます。

ペット可(相談可)は管理規約上や所有者(貸主)がペットを飼う事に同意しているというものです。主に専有部分において、傷や臭いが付きにくい、ペットが滑りにくく負担が少ない床材・クロス等を採用している、場合によってはクロス見切りやハイポジションコンセント等が備わって、入居者の原状回復負担やペットの安全を考慮しているケースもあります。

ただし同じ建物内にペットを飼わない人も当然居住しているため、必ずしもペット好きが集まるとは限りませんし、入居者同士で揉める原因になることも。

飼い主は原状回復費用のほとんどを負い、入居時に敷金の差入れを増額されるケースが一般的です。ペットがいない場合と条件の差が明確であり、お得感を感じにくいのが否めません。共益費で増額とするケースもありますが、賃料反映しても入居がされやすいとは言えないのではないでしょうか。

一方、ペット共生はペット専用とも言われ、ペット飼育を前提としています。

専有部内にはさらに凝ったペットへの工夫と配慮がなされ、くぐり戸や飛出し防止フェンスが付いていたり、壁面にキャットウォークや、トイレ用スペースまで確保されていることもあります。さらに規模の大きな物件の共用部には、分譲マンションさながらにグルーミングスペースやペットの遊び場を設けるなど、ペットの住環境もコンセプトに加わっており、飼い主にとって大きな魅力になります。

ペットの飼い主を対象にしたアンケートで、賃貸住宅選びの際に重要視する順に?日当たり?2階以上?周辺環境の良さ?ペット用設備の充実?最寄駅へのアクセスという結果が出ています。飼い主の利便性だけでなくペットとのライフスタイルやペットの住環境を考慮している結果です。これらが満たせる場合、家賃がその分高くなっても住みたいというニーズがあることが見えて、当然賃料反映もしやすいと考えられます。専用と聞くと市場が狭くなるように聞こえがちですが、これほど明確でわかりやすいアピールができれば、需要がある以上十分に見込めるのではないでしょうか。

ただしいくら差別化とはいえここまでハード面を充実させるとなると、投資や維持管理という観点からなかなか検討しにくいオーナー様が多いのも事実です。

近年ではシェアハウスに代表される隣人コミュニティが大変な盛り上りを見せる中、ペット共生住宅もペット好きが集まるコミュニティとして良いアピールができます。

賃貸住宅は投資や経営という概念はもちろん捨てられませんが、同時に住む人の満足や想いが叶ってこそ成り立つものだと考えます。

 

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