民法改正による賃貸業界への影響&アパート建築セミナー開催のお知らせ
皆様こんにちは。本日は和田がお伝えします。
5月に成立した改正民法は、120年ぶりの大改正と言われており、賃貸業界にも少なからず影響を及ぼすと考えられています。
改正のポイントと影響について、まとめてみたいと思います。
賃貸にかかわる大きな改正点は、下記の4点です。
1.敷金の返還義務の明文化
2.個人の連帯保証人の保護
3.賃借人による修繕権
4.一部滅失による賃料の減額
この中でもっとも話題になっているのは敷金の返還義務の明文化のようですが、現時点でも国交省のガイドラインに規定されており、民法に明文化されても特に影響は無いと言えるでしょう。
個人の連帯保証人の保護については、保証債務に極度額が設定され、この極度額をあらかじめ書面で定めておかないと無効になるという規定です。
新規の契約はもちろんですが、既存の契約を更新する場合も適用になるため、注意が必要です。
ですが最近は、連帯保証人ではなく家賃保証会社を利用するケースが増えており、改正施行後は家賃保証会社の利用者が一段と増加すると思われますが、これも大きな影響はないと考えています。
民法ではこれまで賃貸人に修繕義務があることだけが規定されていましたが、今回の改正では賃借人の修繕権の要件についても明文化されます。
要件とは、賃貸人が修繕の必要性を知ったにもかかわらず相当の期間を経過しても必要な修繕しない時と急迫の事情がある時は、賃借人が自ら修繕できるというものです。
もちろん賃借人に過失がないことが前提ですが、負担した修繕費用は賃貸人に請求することができます。
これは今までとは違う大きな変更点であり、『相当期間』に対する捉え方の相違や賃借人が過剰な修繕をしてしまった場合など、新たなトラブルの火種になるのではという懸念があります。
次も大きな影響が予想される一部滅失による賃料の減額についての規定です。
従来は賃貸物件の一部滅失の場合「賃料の減額請求ができる」という定めでしたが、改正後は一部使用収益ができなくなれば、その部分の割合に応じて「賃料は当然に減額される」という表現に変わります。
室内のエアコンや給湯器の故障期間、共用部であればエレベーターやオートロックの故障期間などが該当すると考えられますが、どの程度の期間から適用され、いくらの賃料減額が適正なのか、こちらも懸念が残ります。
今回の改正は、やはり賃借人に有利な改正になっていると感じます。
これまで以上に賃貸借契約書に詳細なルールを明記することが重要となります。
また、賃貸経営をするオーナー様も改正点をしっかりと把握し、新たなリスクに備える必要があるでしょう。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。